土井隆義

近年の相対的貧困率に目を向けてみると、男性の場合、高齢層ではやや改善が見られるのに対し、若年層では逆に悪化している。女性の場合、男性ほど極端ではないものの、それでもやはり若年層で悪化している。 その貧困の要因の一つといえる失業も、その多寡は若年層になるほど学歴による差異が大きくなっている。またその学歴は幼少期からの家庭環境に左右され、さらにその家庭環境には教育に投資できる親の経済力が反映している。事実、全国一斉学力テストの平均点は親の年収と相関しており、子ども自身による勉強時間との相関度よりも強い。 このような状況を反映して、いまの日本には「努力しても報われない」と諦観を抱く若者たちが増えている。にもかかわらず、その状況に対して彼らは不満を覚えなくなっている。